こんにちは。ライターの佐藤結衣子です。
あなたは、意中の相手と食事をする時、イタリアンにしますか?フレンチにしますか?
何となく、イタリアンはトマト料理やパスタ、ピザが出てくるカジュアルな店で、フレンチはコース料理の格式ある店、なんてイメージありませんか?
でも、イタリアンでコース料理のある店もありますし、フレンチのカジュアルな店もあります。
それじゃあ、どう違うのか?
調べてみると、イタリアンとフレンチには、料理方法や食材、マナーに違いがあり、その歴史を紐解くと、面白い関係があることがわかりました。
そこで今回は、イタリアンとフレンチの違いについて、徹底解説したいと思います。
スポンサーリンク
目次
イタリアンとフレンチ、料理方法や食材はどう違うの?
まず、イタリアンといったら、あなたはどんな料理を思い浮かべますか?パスタやピザはもちろん、トマトやオリーブオイルを使った料理が一般的ですよね。
でも実は、トマトやオリーブオイルは、イタリアの中でもナポリなど南イタリアの料理。ミラノやトリノがある北イタリアでは、バターや生クリームが使われますし、シチリアなどは北アフリカに近いことから、クスクスが使われたりもします。
イタリアンでお馴染みのパスタやピザは、イタリア各地で食べられています。しかし、ピザの場合、ナポリのナポリピッツァといえば厚めの生地が特徴なのに対し、ミラノでは薄い生地が使われるなど、やはり地域によって特徴があるのです。
つまりイタリアンというのは、イタリア各地の郷土料理の総称で、使われる食材は地域によって様々なのです。全体的な傾向としては、パスタやピザが好まれ、素材を生かした料理方法に特徴があり、日本では、主に南イタリアの料理がイタリアンとして親しまれています。
一方、フレンチといえば綺麗に盛りつけられたオードブルや魚、肉料理にコクのあるソースが掛かったイメージがありませんか?
そうです、伝統的なフレンチの特徴はソースにあるんです。
もちろん、フランス各地にも郷土料理があり、スイスとの国境に近いサヴォワは、山岳地帯で、チーズフォンデュ(フランス語でフォンデュ・オ・フロマージュ)やラクレットが有名ですし、イタリアと国境を接する南東部プロヴァンス地方では、南イタリアと同じく、トマトやオリーブオイルなどが使われます。
ただ、一般的な「フレンチ」というのは、イタリアンと違い、これらの郷土料理そのものの総称ではありません。フレンチとは、郷土料理をベースにしながら、フランスの宮廷料理が発展して洗練され、それが大衆に広がったものなのです。
もとが宮廷料理だから、フレンチの方が、格式が高いイメージがあるのかもしれませんね。
フレンチの特徴的なメニューと言えば、テリーヌやポワレ、ソテー、ムニエルなどがありますが、これらに使われる素材は様々で、テリーヌは器に材料を詰めて焼いたもの、ポワレ、ソテー、ムニエルはそれぞれ焼き方の方法です。ソースもその素材は様々で、メインの食材に合わせて作られますよね。つまりフレンチとは、料理方法そのものなのです。
イタリアンとフレンチの違い、それはイタリアンがイタリア各地の郷土料理の総称で、地方色が豊かなのに対し、フレンチは宮廷料理が元になった料理方法に特徴があることなのです。
ところで、フレンチにパスタはあるのでしょうか?
答えは、「ある」です。フレンチの特徴は、料理方法そのもの、つまりフレンチの手法で料理されたパスタなら、それは「フレンチのパスタ」ということになります。
とはいえ、やはりパスタといえばイタリアのイメージが強いですし、「フレンチのパスタ」を出す店は、少ないかもしれませんね。
スポンサーリンク
イタリアンとフレンチ、マナーの違いは?同じでいいの?
では、イタリアンとフレンチのマナーに、違いはあるのでしょうか?
基本的にはどちらも「洋食」ですから、ナイフやフォークなどのカトラリーは、外側にあるものから使う、テーブルナプキンは二つ折りにして、輪を手前にして膝の上に置く、席を立つときはナプキンを椅子の上に置く、食後はナプキンを綺麗にたたまない、などのマナーは同じです。
ですが、イタリアンとフレンチでは、カトラリーの使い方に、細かな違いがあるのです。
・フォークの背中
イタリアンでは、フォークの背中に料理を乗せますが、フレンチでは乗せません。
・フォークの持ち替え
フレンチでは、フォークを右手に持ち替えてもOKですが、イタリアンではNGです。
(※イタリアンでも、パスタの時は右手でフォークを持ちます。)
・スープの飲み方
イタリアンは、スプーンを手前から奥に運んでスープをすくい、スープが少なくなったら、皿の手前を少し浮かせて、スープをすくいます。
フレンチでは、スプーンを奥から手前に運んでスープをすくい、スープが少なくなったら、皿の奥を少し浮かせて、スープをすくいます。
・食べ終わりの合図
イタリアンでは、ナイフとフォークをお皿の真ん中より下側に、縦に揃えて置きます。
フレンチでは、ナイフとフォークをお皿の真ん中より右側に、横に揃えて置きます。
この他、イタリアンとフレンチの違いとして、パンの食べ方があります。
フレンチではパンにバターをつけて食べますが、イタリアンの場合、パンはバターではなくオリーブオイルに浸して食べます。
イタリアンのお店でパンが出された時、バターがなくても慌てないでくださいね。オリーブオイルが出されますので、パンを一口大にちぎって浸してください。
そして、マナーで気をつけたいのが、イタリアンのパスタの食べ方。
あなたはパスタを食べるとき、フォークとスプーンの両方を使いませんか?
自宅なら箸で食べる、というのはナシにして……(実は私も、自宅だと箸を使っちゃいます。)
イタリアンの正式なマナーでは、パスタを食べるとき、スプーンを使うのはNGなのです。
スプーンとフォークの両方を使うのは、イタリアでは子どもの食べ方とされています。
私は以前、習い事の食事会で、イタリアンのコース料理を頂いたことがあります。その食事会は、人間国宝(所属団体に対する総合認定)の先生も同席されたもので、場所は、先生ご指定の高級リストランテ。その時は、パスタではなくリゾットが出て来たのですが……スプーンではなくフォークが出されました。
私を含め、他の参加者は庶民中の庶民なので、「スプーンはないですか?」と聞いた人がいましたが、お店の人に「リゾットはパスタ(の扱い)なので、フォークでお召し上がりください」と返されました……
そのくらい、イタリアでは「パスタはフォークだけで食べるもの」とされているようです。
ただ、パスタをスプーンとフォークで食べるのは、そんなに駄目なことなのでしょうか?
その疑問に答えるのが、こちらの動画です。まずはご覧ください。
【【海外の反応】本当にパスタをスプーンで食べてはいけないのか →イタリア人「やめて!!」】
イタリア以外の国では、スプーンを使う国も多いようですね。(中には、イタリアでもスプーンを使う、という意見もありましたね。)
特に、動画の中にもありましたが、イギリスではスプーンを使うのがマナーで、日本はイギリスからテーブルマナーを学んだため、パスタを食べるとき、スプーンを使う人が多いのかもしれません。
ですから、パスタにスプーンとフォークの両方を使うこと自体は、間違いとは言い難いのです。
でも、イタリアンのお店では、パスタもリゾットも、フォークだけで食べてくださいね。
ちなみにフランスでは、パスタをナイフで切って、フォークに乗せて食べるそうです。
もし、フレンチのお店でパスタが出てきた時に、フォークと一緒にナイフが添えられていたら、パスタを切って食べろということなのかもしれません。
(フレンチでもフォークしかなければ、それがお店側の意思ですので、イタリア式の食べ方で差し支えないでしょう。)
フランス料理の元はイタリア料理だった!?その歴史とは
イタリア料理の歴史は古く、そのルーツは古代ローマまで遡ります。古代ローマといえば、食べるために鳥の羽で喉を刺激し、吐いてまで食べ続けたとまで言われています。(実際にここまで食べるのは、宴会のような特別な時だけで、普段の食事は質素だったと考えられています。)
またこの頃から、パンやワインがあり、オリーブオイルが使われていました。
ルネッサンス期に入ると、料理書が書かれ、食事のマナーが重視されるようになります。そして、ナイフやスプーン、フォークといったカトラリーが使われるようになりました。
1533年、フィレンツェの実質的な支配者であったメディチ家の娘カトリーヌ・ド・メディシスが、フランスの王子で後のアンリ2世に嫁ぐ際、多くの料理人を連れて行ったことで、イタリアの料理方法やマナーがフランスに伝わりました。
その頃のフランスは、パンを皿がわりにし、手づかみで食べていました。そこに、イタリア料理が伝わり、いわゆる「フランス料理」の元になったと言われています。
その後フランスでは、宮廷料理として料理方法やマナーが洗練され、オートキュイジーヌ(高級料理)が確立します。その後、レシピの単純化や料理のコース化など、時代に合わせて変化し、大衆化しました。20世紀に入り、素材を生かした、軽くて簡素な料理法ヌーベルキュイジーヌ(新しい料理)が台頭しました。今はまた、ソースが重視されるなど古典的な手法と、新しく前衛的な挑戦が融合し、日々、進化を続けています。
まとめ
イタリアンとフレンチの違い、いかがでしたか。まとめるとこうなります。
・イタリアン:イタリア各地の郷土料理で、素材を生かす料理法。
・フレンチ:イタリア料理を元に、宮廷で発展した料理方法。ソースに特徴がある。
マナーにも、イタリアンとフレンチではカトラリーの扱い方に、違いがありましたね。
フォークの背中を使うか使わないかということの他、スープの飲み方や食べ終わりの合図、そしてパスタの食べ方まで、イタリアンとフレンチは細かい部分で、違いがあるのです。
そして、古代ローマにまで遡るイタリアの料理がフランスに伝わり、フランス料理の料理方法マナーが確立していったのです。
イタリアンとフレンチの違いを頭に入れて、デート頑張ってくださいね。
スポンサーリンク