こんにちは、ライターのぽんたです。
お鍋の中で野菜やお肉を茹でたり煮込んでいると出てくる、「灰汁(あく)」。見た目が美しくありませんし、取るのも面倒ですよね。
私も料理の時に頑張って取ろうとするのですが、次から次へと出てきてうまく取れません。料理が完成しても、具材に灰汁が付いているのを見て、「あんなに頑張って取ったのに、残っている…」となんとも言えない気持ちになってしまいます。一人ならばまだ大丈夫ですが、とてもお客さんにはふるまえない仕上がりです。
しかし、さほど味に影響が出ているとも思えない灰汁。そうなると灰汁取りの利点は「見た目が美しくない」だけなのでしょうか?そもそも灰汁にはどんな役割があるのでしょうか?
今回は、そんな灰汁について調べてみました。
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目次
灰汁の成分とは
そもそも灰汁とは、一体何なのでしょうか?
2 山菜や野草などに含まれる、渋み・えぐみなどのもとになる成分。「ウドの灰汁を抜く」
3 肉などを煮たときに、煮汁の表面に浮き出る白く濁ったもの。「スープの灰汁をすくい取る」
引用元:小学館 デジタル大辞泉
灰汁には2種類あり、「動物性食品」「植物性食品」の食品から出ます。
◆動物性食品の灰汁
しゃぶしゃぶやカレーを作るときに出てくる茶色い泡が灰汁です。肉、魚に含まれます。成分はたんぱく質でできており、加熱で固まる性質があります。特に赤身が出やすいです。
加熱し続けると酸化し、味にも影響が出てしまいます。動物性食品に含まれる灰汁の中には、うまみ成分や様々な栄養素も含まれているので、取りすぎないように注意しましょう。
◆植物性食品の灰汁
植物や野菜が防御物質として備えているものです。えぐ味、渋味、苦味がします。特に灰汁が出やすいのは、たけのこやわらびです。野菜の灰汁は風味でもありますし、体にいい成分もあるので、肉、魚と同じように取りすぎないようにしましょう。
味の成分や代表的な食べ物は次の通りです。
・えぐ味
〈主成分〉
シュウ酸、チアミナーゼ、クロロゲン酸、ホモゲンチジン酸など
〈食べ物〉
さといも、ゴボウ、ほうれん草、小松菜、春菊、たけのこ、わらび、ぜんまい、など
・渋味
〈主成分〉
タンニンなど
〈食べ物〉
れんこん、柿、栗など
・苦味
〈主成分〉
カテキン、クロロゲン酸など
〈食べ物〉
ふきのとう、きゅうり、クワイなど
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灰汁を取ったほうが良いのか?
灰汁を取らずにそのままにしておくと、どんな影響があるのでしょうか?
【灰汁取りの理由「料理の見た目と味」】
理由として挙げられるのは「見た目」と「味」です。
・味の理由→味にまとまりがなく風味が損なわれる、舌触りが悪くなる
実際に同じメニューの料理で、灰汁を取った場合と取らなかった場合で実験したところ、やはり味に差があったようです。
ただし、料理によっては、時間が経つとさほど味に差がなくなったり、始めから灰汁の影響があまりなかった具材もあったようです。そのため、一方だけを出されると、判別つかないかもしれないですね。極端にいってしまうと、灰汁取りをしない料理に慣れると、灰汁は大した問題ではなくなってしまうのかもしれませんね。
【灰汁取りの理由「体に悪い灰汁」】
気にしなければ灰汁取りはしなくていいのかというと、実はそういうわけでもないのです。先ほど灰汁の主成分を挙げましたが、「体にいい灰汁」と「体に悪い灰汁」があります。
体にいい灰汁は、クロロゲン酸やカテキン、タンニンなどのポリフェノール(抗酸化作用がある)などがあります。
一方の体に悪い灰汁には、シュウ酸、チアミナーゼなどがあります。シュウ酸は尿路結石の原因となり、ほうれん草などに含まれています。チアミナーゼはワラビに多く含まれていますが、適切に灰汁取りをしないとワラビ中毒になる恐れがあります。
灰汁取りをするのは大変ですが、やはり体の為にもするに越したことはないのですね。
灰汁の取り方
灰汁を取るのはちょっと大変です。それぞれの食品ごとに、灰汁取りの仕方を紹介します。
【食品ごとの灰汁取りは?】
灰汁の取り方の基本は、「塩熱湯で茹でる」です。茹でた後は、冷水に入れて色止めします。主に春菊、さやいんげんなどに使えます。
他にも次のような方法があります。
・水にさらす
いも類などのでんぷん質の多いものに効果的です。皮をむいたら、すぐに水にさらしておきましょう。また「酢水」でも触れますが、ゴボウの灰汁取りにも効果的です。
・糠(ぬか)
たけのこの灰汁取りに効果的です。下ごしらえ後、水に糠と鷹の爪を入れて茹でます。糠のかわりに、少量のお米を使う方法もあります。
こちらの動画では、たけのこの灰汁取りの仕方が紹介されています。少し大きめの鍋に、少量のお米と鷹の爪を入れて灰汁取りをしています。
【実は簡単!筍の茹で方 下処理 アク抜き How to boil Bamboo Shoots】
私もたけのこの下処理と灰汁取りをしたことがありますが、大きな鍋や圧力鍋がなくても大丈夫!炊飯器でもできますよ。
・酢水
ごぼう、レンコンなどの根菜類やウドに効果的です。ごぼうに含まれる灰汁は、体にいいポリフェノールが多く含まれています。実はゴボウの灰汁取りは、白く仕上げたいときの変色防止の意味合いが強いので、灰汁取りだけしたいなら先述の「水にさらしておく」方法がいいです。
方法は、皮をむいたら酢水につけておきます。茹でるときも、お湯に酢を少し入れておきます。ウドも、皮をむいて酢水にさらしておきます。ただし、長時間酢水にさらしておくとシャキシャキ感がなくなってしまうので、注意しましょう。
・重曹
わらびなどに効果的です。沸騰したお湯の中に重曹を入れ、火を止めて粗熱を取っておきます。ワラビを入れて一晩置いた後、取り出して丁寧に水洗いしましょう。
・肉の場合
肉は、煮込み料理以外に、焼料理からも灰汁が出ています。熱に通すと少なからず灰汁は出るものです。煮込み料理は、そのまま出てくる灰汁を取ってしまいましょう。
焼料理は、一旦常温に戻しておくと、パックの隅に肉から出た汁が出るので、それが灰汁になります。焼き始めると5分くらいしてまた水が出てきます。それも灰汁の原因になるので取っておきましょう。
【灰汁取りの道具は?】
道具を紹介します。コツは、「灰汁が出るたびにやるのではなく、ひとまとめに取ること」です。
・お玉
一番簡単な方法ですね。ただし、汁まですくってしまう欠点があります。
・網状のお玉
網状なので、汁まですくうことがありません。
・キッチンペーパー
灰汁が出てきたら、落し蓋のように覆いかぶせます。灰汁の量が多いときは少し不便かもしれません。灰汁も脂も取れる専用のシートもあります。
・シリコン灰汁取り落し蓋
落し蓋のように覆いかぶせます。洗って何度でも使えます。
・灰汁取りブラシ
100均でも買える柔らかいブラシです。スープの表面をなでるだけ灰汁が取れます。具材を崩したり、すくってしまうことがありません。
便利な道具がいくつもあるので、ぜひお試しください。
まとめ
①灰汁の成分について
・「動物性食品」は、たんぱく質が主成分
・「植物性食品」の成分は、えぐ味だとシュウ酸、渋味はタンニンなど
②灰汁を取ったほうが良いのか?
・灰汁を取らないとスープに濁りがある、風味が損なわれるなど
・灰汁を取らないと尿路結石を作るシュウ酸の摂り過ぎや、ワラビ中毒になる可能性があるなど
③灰汁の取り方について
・塩熱湯で茹でる、水にさらしておく方法など
・お玉、灰汁取りブラシなどの道具を使うなど
灰汁にポリフェノールやうまみ成分まで含まれているとは知りませんでした。実は今まで大事な成分を捨てていたのではないか、と急に気になってきました。道具の中でも特に灰汁取りブラシが気になるので、今度買いに行こうと思います。
厄介者扱いしがちな灰汁ですが、上手に付き合って、おいしく料理をいただきましょう!
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